小沢和史詩集2001〜2002

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ハーモニカ船

ハーモニカ船




 見渡す限りに並ぶ穴ぼこに潜り込み

 腹をくねらせ、くねらせ、破裂させていけ

 エンジンルームで爆発するハーモニカなり

 

 呪われた日曜日には

 揺れる廃船置き場で

 親指を突き立てる

 潜水艦をヒッチハイクなり



 骸骨船長、胸の牡丹を引き千切り

 踊る骨をかき鳴らす

 墓場には波を刻め!

 などと吠えながら

 自分の骨を海に投げ込む



 興奮した潜水艦、海水まき散らし

 僕らはずぶ濡れ

 骸骨船長の

 くねくねダンスに蹴り飛ばされて

 咄嗟にしがみつく両腕は

 飛び魚の羽がこちょりとくすぐる

 錆びた砲台から発射された弾丸が

 骸骨船長の頭蓋骨を貫いて

 僕の胸の真ん中に宿る



 ハーモニカ船の出発だ

 空は空っぽの空地だ

 果ての無い日曜日のピクニックなのだ

 夏の暑さというより

 その圧さに飲み込まれて

 破綻の元に歓喜しろ!








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