小沢和史詩集2001〜2002

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月に狙いをさだめて

月に狙いをさだめて








闇のホール、

切り裂く弾丸ダンス。

悪魔の憂鬱は致命傷。

あんた、白濁の焦り、虫篭に入れて

私の髪を濡らす。

まとわりつくな。

わたしゃ、あんたにゃ、用がない。



高速の道で迷った野良猫

ハイビームよ、照らせ。

廃船置場から泳ぎ出す野良犬

狂いかけの夜の始まり。

青の拳が赤の顎を打ち砕く瞬間、

絶望の沼は沈黙し

投げ捨てられた血の薔薇は

女の裸を貫いて。



それで女は踊リ出す。

闇のホール、切り裂く弾丸ダンス。

絶滅した獣たちの歌。

女のサングラスは

避けるためじゃない。

沈んでいくため。

あんた、白濁の焦り、虫篭に入れて

私の髪を濡らす。

その先へ行くんじゃない。

ここにいるの。

月に狙いをさだめて。







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