HYPERLITERAL












澪子は2年前にも、草がまばらに生えたところにしゃがんでいた。でもその草は、火葬場の庭の敷石の間からまばらに生えた草だった。草は小さな黄色い花を咲かせていて、その根本を蟻が迷子になったように、あっちに行ったり、こっちに行ったりして這っていた。澪子は行き所を無くしたような黒い蟻を見ていた。澪子の父と母は小さな豆腐屋を営んでいたが、ある夜、寝ているところに、土を満載した大型ダンプカーが飛び込んできて、壊された家の下敷きになって死んだ。それから、澪子は今まで会ったこともなかったじいちゃんと一緒に暮らすことになった。