女に向かって位相せよ

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詩集『陥穽同棲又は陥穽への逃走』より

女に向って位相せよ



普段昼前の部屋の中で
私は既にコップだった
そして私はあの女の手の中にあって
微動する唇に近づけられるので
私の肉体は硬直して落下破壊
見る間に肉体の被片は鋭くあの女の素足をうかがい
次いで私は既に毛髪だった
あの女は私の指をくしけずる
私の股をくしけずる
ミユーウントクリユーセル
五時二十二分から三十三分への針の素遠い移動
私は平穏と苦悶の交錯のうちに
爪先を女の唇の端で戦標させる
両腕で女の首を締め尽すうちに
くしけずる女の腕と共に浮遊する私は
連綿と連続して
上下する女の腕を包む
更に女の胃の蠕動を包み込む

実は女はピストルを握っていたが
何とそれは私の男根であリ
彼女が狙っているのは硬い鉄の
蓋がされている舗道についている
マンホールなのだつた

(裏側には色付きの景色の写真がある)

やがて女は立ち上り
私は体感として首から乳房を通って尻の上へと落ち込む
私は既にあの女の欲望自体となっていた
女の尻は両素足の上に密着して
尻の上には両乳房が隆起して
私は遂に完遂された

註;「実は彼女は、、、」から「マンホールなのだ」まで、元の詩では四角く線で囲まれている。



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