詩集「ZZZ…世界の終りのあとで」

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緩行線で

緩行線で







それもこれも翼つきの椅子に始まったこと
おおよそ風まかせであった
罐の底の冷気をえぐる急降下の味を知り
目前に迫るケーブルには手鉤をかける
巡航である
カード売りの乗務員がいったりきたり
窓の外の鋸歯の山脈には
賑いのリフトが数珠つなぎ
見えかくれする座席が食い散らかしのその平行
開き放しの口が唄を霧散させるその流行
ごいっしょしましょう
めちゃくちゃひどい遅れは鳥の餌
くらくらの島の連結器あたりが腐りだしたら
綴り合せに少しいそいで漕ぎ寄せましょう
つなぎ目均す温かい日ざしとかこころとか
新聞紙たたみかえすがさごそとか乗せて
いちまいの電車の床があり
突き出た老人の黒いスエード靴の甲には
五本の
足指のこすれた跡が浮きだしている



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