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[ 鈴木志郎康映像個展 ]


鈴木志郎康作品『角の辺り』    


(15分)1995年 16ミリフィルム カラー




『角の辺り』の紹介


 朝起きて部屋を出ようとすると、そこで既に一つ角を曲がる。この人生、一体いくつの角を曲がって生きてきたのだろう。60歳になって、そんな感慨を持った。60歳を迎えるわたし自身の、その自分の人生の一時を映像にするという試み。赤頭巾ではなく、赤パンツをはいた自分を撮影して、一人、還暦を祝った。制作1995年。作者、60歳。



 朝起きて、その日の天候を気にする

 ドアを出ると角を曲がる、階段を下りてまた曲がる

 還暦祝いの赤パン

 ザクロの赤



撮影・構成・編集:鈴木志郎康
スタジオ録音:林智明

登場する人:鈴木志郎康

使用カメラ

BOLEX R16

 BEALIEU R16


DOCUMENT
「角の辺り」ナレーション



1.{タイトル1:鈴木志郎康作品1995年4月
 {タイトル2:角の辺り
 {タイトル3:出演撮影編集は作者自身の鈴木志郎康
 {タイトル4:録音 林智明
2{.寝室、パジャマ姿}:ここに、今目を覚ましたばかりの男がいます。これが私です。天気を気にする。根が百姓だからでしょうね。絶えず、自分を確かめないではいられない。自分を確かめるために自分の姿を撮影する。というわけでです。
3{日の移ろい1 夜明けの空
4{日の移ろい2 野ボタン
5{日の移ろい3 机の上の石榴up
6{日の移ろい4 石榴・引き
7{日の移ろい5 部屋引き}
8{花々 椿2カット 
9{スズメ数カット
10{水仙 枯れた椿 :相変わらず枯れた花に執着しています。
11{チューリップ :枯れ始めた花というのは自分の姿が崩れるのを止めることができないわけですね。崩れ始めるとバラバラと崩れてしまう。どしようもない。
12 {部屋}
13 {文字:「作者、60歳は還暦なのだ。」}:私は今年60歳になります。つまり60年間生きてきた結果としての自分がここにあるわけです。
14 {テーブルを前に座っている裸の私:この自分の存在、この身体、それはわたしにはますます不可解になっていきます。毎日がわけが分からない。
15 {赤いパンツ}
16 {文字:赤いずきんの代わりの赤いパンツ}
17 {窓の外の空・雲の動き}
18 {寝室の私}:私は考える。部屋を出て曲がる。家の玄関をでて曲がる。そして、街角を曲がる。歩いていて曲がる。その先を曲がる。その曲がる角というものがあるんです。その曲がる角を次々に曲がって行って、自分の存在というものが分からなくなってしまう。生まれてからこの方、いくつ角を曲がったことなんでしょうね。
19 {階段を下りる1
20 {階段を下りる2/OL
21 {階段を下りる3/OL
22 {階段を下りる4/OL
23 {階段を下りる5/FO
25 {庭に立つ私}:私はここにのんきな構えで立ている。でも、この私の存在を憎んでいる人がいるんでしょうね、きっと。私はもうすぐどこにも居なくなりますよ。
26 {山吹の花1
27 {山吹の花2
28 {誰もいない庭}
29 {エンドタイトル}


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