野村尚志詩集2000年11月

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二人

二人




紺色の
濃淡のよく似た横縞の
Tシャツを着た二人

その二人の男が前を歩いていく
背の高い方が右少し先に
真昼の
大通りに出る道を

その二人のようすはどう見ていても
他人だった

やっぱりそうだった
なにごともなく
背の高い方は大通りの手前の道を曲がって行った

二人は一人になった
だが二人はもともと二人でも一人でもなかったのだ

ただ似ているTシャツを着ているだけのことだった



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