小びんのなかの青空四年前に作った 「小びんのなかの青空」を見つけた それはどういうものかというと── 古道具屋で買った古い飲み薬の小びんに 青空を撮った写真を切り取って入れたもので 小さな口から写真を丸めて入れてびんのなかで広げたので 少ししわが出来ている にぎるとガラスの感触のなかにかくれてしまう青空 たしか五月の 雲 誰かにあげようと思って作ったんじゃなかった 夜でも青空が見たかったんだろう それに古いガラスは好きだから 光りの反射がいまのガラスと違うでしょ そのころ仕事中のひまなときにカラーの折り込みチラシの冷蔵庫とかバナナとかを はさみで切り抜いていて たくさん筆箱に入れていた(葉書、封筒にはっつけたりする) 街なかの喫茶店で手紙を書いてるとき 隣のテーブルの子供がこの切り抜きを見つけてはしゃぐので いくつかあげたら喜んでくれた その子のお母さんにもお礼を言われた なんだかうれしかったな ただの切り抜きなのに 「小びんのなかの青空」もそんな感じ のものだとしかいいようのないもの 指先でたたくと と、と、 と、と、 って 音のする青空 |