野村尚志詩集1999年3月

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小びんのなかの青空

小びんのなかの青空







四年前に作った
「小びんのなかの青空」を見つけた

それはどういうものかというと──

古道具屋で買った古い飲み薬の小びんに
青空を撮った写真を切り取って入れたもので
小さな口から写真を丸めて入れてびんのなかで広げたので
少ししわが出来ている

にぎるとガラスの感触のなかにかくれてしまう青空
たしか五月の
雲

誰かにあげようと思って作ったんじゃなかった
夜でも青空が見たかったんだろう
それに古いガラスは好きだから
光りの反射がいまのガラスと違うでしょ

そのころ仕事中のひまなときにカラーの折り込みチラシの冷蔵庫とかバナナとかを
 はさみで切り抜いていて
たくさん筆箱に入れていた(葉書、封筒にはっつけたりする)
街なかの喫茶店で手紙を書いてるとき
隣のテーブルの子供がこの切り抜きを見つけてはしゃぐので
いくつかあげたら喜んでくれた
その子のお母さんにもお礼を言われた
なんだかうれしかったな
ただの切り抜きなのに

「小びんのなかの青空」もそんな感じ
のものだとしかいいようのないもの

指先でたたくと
と、と、
と、と、
って
音のする青空



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