近寄る
恩地 妃呂子
歯並びのきれいなひとに恋をした
笑うとトウモロコシみたいにびっしり
並んだ歯
年のわりに老けとるけど
ふだんは歯をみせて笑ったりせんひと
やけど
今 私のすぐ左
すぐ左ちょっと前にいる
ひじが触れて こっちを向いた
テレ笑顔で
夜景
恩地 妃呂子
屋上から 新宿を見た
寮からは ちょうど都庁が
見える
点滅する赤いランプ
ずっと見ていたい
手元に
持って帰りたい
写真にうつしても
それは違う
理科展の作品を 光ファイバーを思い出した
光は 私には まぶしくはなく
暗闇で静かにきらめく
たくさんの小さな点
たった一つじゃない それが好き
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