野村尚志詩集1999年3月

[ HOME ]
[ 詩の電子図書室 ]






穴があったら入りたい
と思いちぢんだ
うつむきかげんの気持ちのすきまに
ほんとに穴が出来てしまって

気づいたらもう穴のなかから出られない

助けて!って助けを求める勇気も持てないままに
手足をばたばたさせてしまって
穴はどんどん大きくなった
深くなった

穴のなかから見あげても
穴しか目にはうつらない

「もう出てきなさい」
「もう出てきてもいい」
何度言ってもそれが
分銅のような声にならない

だから

いまでも穴のなかにいることはいる
でも近頃は
穴そのものになりつつある

これは比較的にいいことだ

穴そのものになってしまえば
穴のなかでおびえているということもない
おびえてふさぐということもない

こんにちわってあいさつしたい

はやく完全な穴になりたい



[前のページ] ぽつり 
[次のページ] 一方通行標識 

|HOME|
[ 詩の電子図書室 ] [曲腰徒歩新聞] [極点思考] [いろいろなリンク Links] [詩作品 Poems](partially English) [写真 Photos] [フィルム作品 Films](partially English) [エッセイ] [My way of thinking](English) [急性A型肝炎罹病記]

[変更歴] [経歴・作品一覧]