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六尺ふんどしをしめた
やせた少年が
国民学校のプールの水を
のぞいている
水は青ぐろく汚れていて
底に這うザリガニも見えない
（ほんのさっき　日本は
戦争に負けたのだった）
腹の突きでた中年の男が
紀尾井町にある大きなホテルの
プールサイドに立って
三十五年前の夏をのぞいている
水は青く澄んでいるのに
ぶよぶよの屍体ひとつ見ることができない
（その男は　もう
六尺ふんどしを持っていない）