弁慶橋の階段を降りて ぬるむ水にボートを浮かべた わたしはボートをこぐのがへたで 女の顔をぼんやり見ていた そのあと ふたりとも 無口になって清水谷公園へ そこでも何もできなくて さらに紀尾井坂へ (豚が世界を支配する そんな内容の イギリスの小説を それぞれ 腕にかかえて) きょう(豚の世界支配はともかくとして) 連翹の黄イが目にいたい 二十余年前の その同じ坂を ひとりでたどって
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