小休止川本真知子 この階には私だけが残っていた いつも 廊下ですれ違う人の気配を気にしている さてと、集まり、昼食へ繰り出す 六人の同僚 せわしなく続くおおきな話し声と ぱたぱた走り急いでいった人々の気配 ちかごろ磁石をもたない私も 手をやすめ、小休止。 やれやれ(さぐるポケット) 火打石の音 ぐんと伸びる炎 私の人生のあとさきに はためいた はためくはずの 夢を色彩にたとえようか 天使の使い古した翼色、臙脂色 いいえ ほこりをかぶった文用品に似た白 ほんとは かろやかな玉虫色がいい スプリングコートのように はためく |