高雄健一郎イントリーグ読者の皆様、はじめまして。高雄健一郎です。詩誌「トビヲ」同人、三十二歳、男性、一応独身。生まれて初めてのゲスト。私は実を言うと文章を書くのが、けっこうつらい。なのにどうして詩を書いているのかというと、なんとなく情けないのだが、書かなければ、生きてゆくことができない、からなのだと思う。その他に、私が詩を書いている理由は、たぶん、ないことだろう。もちろん、詩を書くことで、違う人間になってゆける楽しさは、充分にあるが、私は一体何度、「純粋読者」になってしまえたら、と、願ったことか。しかし、私は書く。書いてしまう。感動を自分自身の中に叩き込んで、発話者を通さずに、満足することができるのならば、きっと書かずに生きてゆくこともできるだろう。しかし、私は、今のところ、それができない。私は、詩を書くことが、実は、きらい、かも知れない。でも同時に、すき、でもある。だからといって、すきでも、きらいでも、ない、ということではない。このふたつの想いは、けっして交わることなく、平行線のまま、伸びつづけてしまい、清算はより不可能に向かって遠ざかってしまうのだ。だから、というのではないが、詩はやはり、詩を書く人のために存在するもので、「純粋読者」のためにあるのではない、と、私は、素直に納得してしまう。閉じられようが、自己満足だろうが、他者が書けていなかろうが、いっこうにかまわないでしょう?と、開き直る訳ではないけれど、素直に、まじめに、けれど楽しく書いてゆければ、それでいいのではないだろうか。愚かな、アマチュアの私です。(高雄健一郎) |