『Intrigue』Vol.3

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高速沿いの風景

高速沿いの風景

               川本真知子


「トラックが通ったよ」
モニターにも
「うん、来た来た」
のはだいぶたってから

行き交う音の中で
日常の些事に
目をつむる
「ほら、次はバイクが行くよ」

それぞれが
いつもどおりではない場所に
少しずつおびえているのかもしれない
いつもを取り戻そうと

魔法瓶に水を注ぐ
銀色にうつる私の顔は揺れて
何度か、ちぎれる
それにばたんとフタをする

ままごとみたいな
コーヒーをいれて
迎えた午前十一時は
宵の驟雨と高速道路を

しらぬほどに
晴れていて
乾いていて
こんな日は今日しかないような気がする




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