過保護な親子猫恩地 妃呂子 ミケは 自分と変わらん大きさ に育った娘、クロを いつも守っとる 暑い日は溝に住み 寒い日は車の下 雨の日は軒下の クロがぬれんよう 奥に座らせ 自分は手前で 人間や犬に目を光らせる もろうたエサも 先にクロに食わせ 自分は見張り クロはのんびり食うている ミケは頭はエエよ 人になれず 猫付き合いもうまい (隣のブス猫とも仲良うし、狭いでも縄張りを離れず、 よそ者にケンカ売られたら追い返す) ミケはやせっぽちや 若い頃 5匹の小猫を 溝で産んだ でも生き残ったのは 薄汚いクロだけ たった1匹だけ この親子がこの町に住みついて どんくらい経つやろ? もうきっとミケには この過保護な関係を どうすることもできんのやろな のんびり者のクロが 遊んでばかりおらんで 早く 親の気持ちと 今の自分に気づかんことには |