車窓に 大きな高層団地の 闇が浮かぶ、 春の夜の匂いが底の方から 徳丸たんぼに たちのぼってくる (終点は ここ?) ここを終点と勘ちがいして 駅の階段をあわてて かけ降り 団地のエレベーターに とび乗って 春の夜の匂いのなかに ダイビングしたひとたちもいる 寒暖にむらのある 春の闇のなか、 ダイビングしたひとたちはその途中で ふと冷たい空気に首すじを撫でられ 自問をくり返しただろうか (終点は どこ?)
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