カッコウの 鳴く声に目覚めて 五月の朝 ベッドから窓の方へ立ちあがっていく それはウソで カッコウの鳴く声なんて 東京の どのホテルの どのマンションの どのアパートの窓からも 聞くことはできない うき我をさびしがらせよ閑古鳥 三百年ほど前に ひとりの男が唇を唾でしめらせ たわごとを口走った かれもわたしもその他のヒトも 生まれた場所から離れたく いまはカッコウの声の聞けないゾーンに 漂流してきたのだ たとえば 日本橋 深川 エトセトラ
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