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ぼくの物語が書いてある本の




ぼくの物語が書いてある本の
今日のところまで読み終わったら
どこかから不思議なおばさんの声がきこえた
(あしたのことは あしたが過ぎてからお読み)
いままでなんにんのひとが
こういう声をきいてページを繰る手を
止めたことだろう
そしてぼくはなぜ知っているのだろう
おばさんの声を振り切って
あしたのページをのぞいても
そこは白紙なんだって

街を歩くと ときたま
魂を抜かれて路上をさまようひとを見る
ぼくは彼らに会うとこころのなかで
友だちよ! と呼び掛ける
ぼくだっていつおばさんにさからって
未来をのぞいてしまうかわからないもの





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