Expanded Book版『15日間』が出来る
渡辺洋さんが、わたしの16ミリ映画『15日間』のExpanded Book(Macintosh)を作ってくれた。『15日間』という作品は、1979年11月19日から15日間、毎日わたし自身がカメラの前に座って、その日のことを5分間ほど喋るという90分の作品。以前、エッセイ集を出す話があったとき、渡辺洋さんがそのわたしが喋っていることを書き起こしてくれた。今度のExpanded Book版『15日間』は、その時の草稿をもとに映画の画像を40数枚はめ込んで作られている。
それまで、日記的な映画を作ってきて、自分で自分を撮るというところに行き着いた作品だ。最近は、自分を撮るという作品はそう珍しくなくなったが、15年余り前では、16ミリのフィルムを使って自分を撮るということに、タブーを破るという罪悪感を覚え、悩みながら撮った。そして、自分一人で試写して見て、スクリーン上に、ひどく落ち込んだ憂鬱な男が現れたのには、自分でもびっくりした。
その後、「鬱病の人は自分より鬱の人を見ると治ると言うから、これは鬱病の治療にいいよ、きっと」なんて言っていたが、あるとき、その鬱々とした自分の映像と生身の自分が対決するというパフォマンスをやって、ようやくこの作品を対象化できて、自分が自分のイメージから抜け出す面白さを見つけたのだった。
最近、イメージフォーラムで映像作品の制作を学んでいる生徒に見せたら、「可愛い」といわれて、「えっ、どうして」と驚いたら、「檻の中にいる動物みたいだから」と答えられて、二度びっくりだった。時代は変わった。わたしも、この2年ぐらい自分の映画の中で、裸体を晒したりしているというわけだ。わたしの意識も変わった。
もし、このExpanded Book(Macintosh)版『15日間』を見たいという方がいられれば、Mailで住所氏名をお知らせ下さい。Mailでは時間が掛かるのでフロッピーでお送りします。フロッピー3枚分と郵便料金190円でお送りします。その際、使用機種がPowerPCか68系かを書き添えて下さい。
「Shirouyasu Homepage」ヒットカウント7000番目の小池純代さんからのお手紙
昨日、わたしのホームページのカウンターで、7000番をヒットした小池純代さんから、記念に贈った詩集の礼状が封書で届いた。「郵送で封筒で来たものには、やはり封書でお返事を、と思うのが不思議なところですが、これが自然かとも思えます」と書かれていた。確かに、E-Mailと手紙には微妙な違いが感じられる。
小池さんは、7000番をヒットした11月11日に、それをE-Mailで知らせてくれたのだが、わたしはその彼女のMailに感じるところがあったので、記念に詩集を贈ることにしたわけだ。
小池さんのお許しを得たので、そのMailを公開すると
7000という数字はめでたいと思ったので記念のお手紙です。志郎康さんのページはわたしが初めて見たホームページでした。それは今年の8月下旬のこと。日経のエ ッセイを新聞で読んで以来、わたしもホームページを作りたい、と思うようになりま した。パソコンを買って接続できるや真っ先に、ここのURLを打ち込んだのです。 そしてこれがホームページというものだと思いこんだため、理想がたかくなってしま い、自分のホームページを作るには作ったのですがデビューさせられないでいるので す。でも、わたしは栄えある7000人目。いいふんぎりがついたと思いこむことに して、ネット上に載せることにします。ありがとうございました。これからもすてき なホームページの見本でいてください。というように書かれていた。初めて見たホームページが、わたしのだったということも嬉しいが、その小池さんが7000という区切りのいい数字に当たったというのも、驚きだ。小池さんは、最近、シックな、古典文学の遊園地というようなホームーページを開いた。是非、訪れて見て下さい。
『プロフェショナルBSD』を読み終える
11月1日から読み始めた『プロフェショナルBSD』を、毎日少しづつ読んで、ようやく読み終えた。余り例のない読書体験だった。書いてあることについて殆ど分からないが、そんなことがあるのか、という気持ちで読み進めた。
丁度、子どもの頃、万世橋の交通博物館に行って、展示されている本物の蒸気機関車や電気機関車を見るようなものだった。機関車のいろいろな部品を見たり触ったり出来るが、それがどういう働きをするかは分からない。しかし、機関車の全体は体感できる。そんな感じだった。
ファイルシステムやら、コマンドやら、設定やら、ネットワークやら、見えないし、触るわけにも行かないが、アルファベットの符号の集まりとして、BSDというUNIXのOSの姿がおぼろげに感じられた。これは、「パソコン」と軽く呼べるものではなく、「コンピュータ」だ、と思った。